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幸運なもの6
「俺は虎介がショートケーキを1個食べようが100個食べようが嫌ったりしないよ」
「え。さ、流石に100個は食べないけど……」
「もしもの話。俺はね、そんな簡単に嫌いになるような気持ちで虎介と接してるわけじゃないよ。例え虎介が熱烈な宗教信者だとしても、借金取りに追われて逃亡生活の身だとしても、俺は虎介を嫌いになったりしない」
「いや、そんなことは全く……」
「もしもの話!」
なんだか柄にもなく口数の多い慎太郎くん。
僕は呆気にとられるばかりで、ろくな返答ができない。
もしかして、僕は今相当恥ずかしいことを言われているんじゃないのか。
何があっても嫌いにならないと、こんな真っ直ぐな瞳に見つめられて告白されて。
今更羞恥で顔が赤くなってくる。
すごい。
これ、ものすごく恥ずかしいぞ!?
プシュゥゥ…と顔から湯気が出る勢いで恥ずかし悶える虎介。
なんかもう色々パンクしそうで、テーブルに突っ伏し両手で頭を覆った。
あれから気兼ねなくケーキをお代わりして、最終的に6個食べたあたりで流石に金銭的に我慢しなくてはと手を止めた。
なんだか今日は一段とケーキが美味しく感じたから、本当はもっと食べたかったな。
そう言うと対面の2人が苦笑いを浮かべる中、慎太郎くんはなおもニコニコとし続けていた。
カフェを出て、その日は解散になった。
それぞれこの後に予定があるらしい。
僕も夕飯の買い物に行こうと思っていたので、みんなとはそこで別れた。
帽子を深めに被って早速馴染みのスーパーへと向かう。
今日はニンジンが安いってチラシにあったな。あと卵がもうすぐなくなるから買わないと。
早く帰ってご飯作って、父さんたちの帰りを待とう。
きっとお腹ペコペコにしてるだろうから……
「おーい、かわいこちゃん」
「!?」
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