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番外編 優璃・志音5
その後図書館を出て、虎ちゃんを見送る。
本当は帰りも一緒しようかと思ってたけど、やめておいた方がいいだろう。
「おーい虎介」
「っ。あ、慎太郎!」
遠くから声がして、相手を確認した途端
彼は心底嬉しそうな笑みを浮かべた。
こんな笑顔は、きっとあいつにしか向けられない。
ズキッと胸の辺りに痛みが走る。
これ以上は、一緒にいない方がよさそうだ。
虎ちゃんは鈍いくせに、こういう時にはすぐ気がつくから。
じゃあまた、とシンがやってくる前に別れを告げ、俺は逃げるようにその場を後にした。
なんとなく廊下をぶらついていると、ふと蘇る昨日の記憶。
『僕にすれば、万事解決でしょ』
あれって、どういう意味だ?
あの流れからだと、すごい意味合いになりかねないんだけど。
でも、志音だぞ?
俺のこと落ちこぼれとかなんだとかって散々馬鹿にしてくる志音だ。
そんなあいつが、まさか、そんなこと言うわけ…。
「おぉ!?」
「……なに、その反応」
曲がり角を曲がろうとすれば、向かいからも人が来て鉢合わせた。
咄嗟に足を止め、驚愕する。
戸惑う俺とは対照的に、志音はなんでもないようにこちらを見上げていた。
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