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番外編 優璃・志音10
ぽろぽろと涙を流す志音を、優璃は放心した状態で見つめていた。
なんで、泣くんだよ…。
こんな弱々しい志音、初めてだ。
ずっと側にいたのに、俺…
志音のこと、全然知らない…。
いつだって何かを話すのは俺だけで、
こいつは何も…
……なんだ、それ。
なんか、無性に悔しい。
「…ばーか」
「…っ」
トンっと志音の頭にチョップする。
鼻とか目元とか赤くして、頭を押さえる志音。
困惑したようにこちらを見上げる幼馴染の涙を、両手で拭ってやる。
顔、ちっせぇな。
すげぇやわい。
そうか、こいつって、こんなに脆い存在だったんだ。
「お前に純粋さなんて、誰も求めてねーよ」
「…っ」
「それに、代わりなんて言うな。志音は志音だ」
「……でも」
弱々しく見上げてくる志音に、ドクンッと心臓が鳴った。
なんだ、これ。
どうしちまったんだ。
なんだか無性に、こいつを抱きしめてやりてぇ…。
感じたままに、その小さな体に腕を回した。
包んだ体はピクッと跳ねたが、次には大人しくなる。
というか、固まってる。
「ゆ、ゆう、り…?」
「んー」
「あの…、これ、なに…」
「んー。なんだろーな」
「は、はぁ?」
困惑してる志音が面白い。
つーかこいつ、なんかふわふわしてる。
髪の毛とか、香りとか。
背中もちっせぇ。
きゃしゃな肩だなー。
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