7 / 150
2. 2
新田は何も無かった事にしようとしていた。
もともと俺たちが校内で会う確率は少ない。
新田のクラスの授業に行くとき以外での
接点は、ほぼないからだ。
関わらないようにしようと思えば
それなりに成立させる事は可能だった。
俺の方も、あの日は魔が差したとしか思えない。
新田の隠れた魅力に気づいてしまい、もう一度
あの肌に触れたいと思いながらも、
あの時撮った物で、新田を脅して、もう一度
関係を迫るほど、ゲスになりきれなかった。
そんな俺にとって、俺との関係を断とうとする
新田の行動は、願ったり叶ったりといった
ところだった。
ただ…
思えばなんて酷い抱き方をしたものか…。
ゆっくり開いてもやらないで、乱暴に突き立てて
おまけに中に出して放置した。
レイプと言ってもいい。
サイテーだ…。
俺は学校では、同僚からも生徒からも
そこそこ人気もあるし、明るく優しい
それが俺、白井蒼佑 のイメージだろう。
休み時間など、生徒から“そうちゃん”なんて
呼ばれたりして。
その俺のあんな豹変ぶりを見て
心底怖かったに違いない。
ー いつかタイミングがあれば謝りたい
そんな風に思ってた ある日
チャンスは訪れた。
新田は図書室で1人、何かを読みふけっていた。
下校間近で、委員の生徒が図書室を閉める作業を
している所に俺が滑り込んだ。
翌日の授業で使う洋書を探しに来て
1人でいる新田を見つけたのだ。
チャンスだと思った俺は、戸締まりは
やるからと伝えて、委員の生徒を先に帰らせた。
俺が来たことに気づかないで、机に頬杖をついて
真剣な顔で本を読んでる姿がなんともかわいい。
新田はこんなんで大丈夫だろうか?
こんなに隙だらけで、俺みたいな性癖のヤツに
見つかったら、痴漢にあったり、どこかへ拉致
られたりしないだろうか?
そんな事を思いながら、しばらく距離をとって
新田を観察してからゆっくり近づいた。
ともだちにシェアしよう!