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3. 渦
新田は父子家庭の一人っ子だ。
彼が中学に入学すると同時に両親は離婚し
どういう事情か分からないが、母親ではなく
父親に引き取られた。
サラリーマンの父の帰りはいつも遅く
月に数回は泊まりの出張もあるらしい。
学校での新田は目立たない生徒で
勉強もスポーツもどれも、そこそこ
といった成績だ。
部活は演劇部で、裏方の仕事をしているらしい。
それを知った時、図書室でシェイクスピアを
読んでいた理由に納得がいった。
友達も多くはない、よく一緒にいるのは
ほんの2、3人で、大人数でワイワイ悪ふざけ
をして騒いでいる所は見たこともない。
それが、ここ数日で書類を見たり、担任から
それとなく聞き出したりして分かった
新田の全てだった。
・
・
1LDKの狭いアパートで、深夜に、あの日録画した
動画を暗い部屋でこっそり見る。
この家には自分以外は居ないのに、どこかで
誰かに見られているのではと、ソワソワする。
それを見ながら一人でヌいた日の翌日は
新田と顔を合わせるのが勝手に気まずくなる。
でも、授業の空き時間、たった1人のLL教室
から、校庭で体育をしている新田の姿など
見つけると、食い入るように見つめてしまう。
華奢な体に大きめのジャージをしどけなく
纏った姿は、俺のツボをガンガンついてくる。
ー ああ…あの繁みの影にでも連れ込んで
今すぐメチャクチャにしたい!
俺は妄想で、学校のそこかしこで新田を
犯しまくった。
パソコン室でも、図書室でも
トイレでも、体育館の用具室でも。
出会い系で知り合った相手とヤるときも
新田の事を思い出していた。
俺の新田への欲求は、一人で抜こうと
他の男とヤろうと、溜まる一方だった。
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