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「違うって何だよエロガキ」
「…エロガキ…!?」
俺は新田からペンを取り上げて
机の上の小テストのプリントに
数ヵ所丸をつけた。
新田は俺が何をしたのか分からず
怪訝な顔でそれを見つめた。
「先生は心配だよ。あんなに感じやすくて…
またすぐに、金持った知らないおっさんと
悪いことしちゃうんじゃないかなぁ?」
「…しません!」
新田が俺を睨んで即答した。
その素直な必死さがかわいい。
俺はそれとなく、まわりに誰も居ないことを
確認して新田に手を伸ばした。
新田は一歩だけ下がって、廊下に面した壁に
ぶつかって止まる。
俺はそんな新田の長い前髪を、指先で分けて
そのキレイな目をよく見た。
新田は蛇に睨まれた蛙のように、固まって
俺の目を見つめ返す。
「良い子だ。
もったいないから安売りするな」
そう言って頭をポンポン叩いて
教室を出た。
「今チェックした所、よく覚えとけよ?」
そう言って、さっき印をつけたプリントを
指差すと、新田が、え?、と机を見た。
「ちゃんと戸締まりして帰るんだぞ~」
このまま二人でいたら本当に手を出して
しまいそうだ。
妄想の中で何度もしたように…
教室なんかで新田を襲うなんて事をしでかしたら
俺は いよいよヤバいヤツだ。
どんだけ盛ってんだ。
その時 俺は深く考えず、何の罪悪感も持たず
新田にテストに出題される問題をいくつか
教えた。
テストに出る、とハッキリ教えたわけではないし
新田が聞き流し、ちゃんと予習をしなければ
答えられない。
だから罪悪感なんて何もなかった。
・
・
期末テストで、新田の英語はこれまでで一番の
点数を採ったけれど、学年トップの奴らの
成績には及ばない。
新田の点数がちょっといつもより良いからって
気にするヤツは1人もいなった。
だから余計に俺は、悪いことをした自覚なんて
少しもないままだった。
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