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「ヤられそうになったって、今の奴?」
「うん、この前も今みたいにずっとヘラヘラ
してたよ。
その割りに捕まれた腕とかめちゃくちゃ
痛くて、怖かった」
「あれは確かにヤバいね。
目が普通じゃない。関わったら面倒な事に
なるタイプだ」
進が、だよね! と強く頷いた。
「俺、多分もう来ないよ。あんなにラリってる
奴ばっかのパーティーじゃ、さすがにヤバい
バレたら仕事クビだ。
進も行くなとは言わないけど、行くなら
気を付けろよ」
「そうちゃん行かないなら
俺も、もう行かない」
進は何故かちょっと嬉しそうに笑った。
「今日久しぶりに、そうちゃんちに
行ってもいい?」
上目遣いの進は子犬のようでかわいい。
年は実は俺よりひとつ上で29だけど、
ベビーフェイスとラフな格好のお陰で
20代前半と言われても信じてしまうだろう。
「……いいよ」
「やった!じゃぁタクシー拾おうよ
はやく帰ってイチャイチャしたい」
「欲望に忠実だな~
最近色気が足りないんじゃない?
もうちょっと恥じらうフリしたら?」
「なんだそれ、そんなの欲しかった?
じゃぁ部屋では たっぷり恥じらって
やるよ」
その言葉の色気の無さに笑ってしまう。
進とは出会って2年ほど経つけれど
出会ったばかりの頃は、目を見て話す事も
ままならないくらいの人見知りだった。
俺の方が強引に誘って関係を持ち、徐々に
親しくなって今に至る。
玄関を閉めた瞬間に噛みつくようなキスをして
シャワーも浴びずにベッドに直行するような
こんな関係になるまでには1年以上かかった。
今では何でも躊躇なく口にする。
キスして、触って、うるさいくらいに…。
俺はセックスで、あれこれ注文をされるのは
好きじゃないのに、進に言われると不思議と
悪い気がしない。
何でもやってやろうという気になるし
それをネタに虐めてみたり、結果的に
毎回楽しんで終われる。
「やっぱり、そうちゃんとするの好きだな~
ねぇ、俺達ちゃんと付き合わない?」
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