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6. 刺の行方

2学期も終わろうとしている頃。 新田が3年の生徒と一緒に居るのを 見かけるようになる。 昼休みも時々一緒にいて、放課後もよく 連れだって帰る。 俺が顧問をしている、剣道部の生徒だったから 顔も名前も知っていた。 間宮という目立つタイプの生徒で、 女生徒にも人気があって、いつも何人かの女子や 取り巻きのような男友達数人に囲まれている。 その中に新田が時々混じるようになったのだ。 俺は内心それをよく思ってなかった。 新田が変わってしまうのが嫌だったのだ。 言動や、見た目も派手な真宮の影響を受けて 新田が変わってしまうのが嫌でたまらない。 3年だったら受験で忙しく、落ち着かない時期の はずだが、間宮は卒業後、実家の小さな工場に 就職する事が決まっていて、逆に時間は余裕が あるようだった。 今日も食堂で一緒にいるのを見た。 新田は何を話すでもなく、1人で携帯のゲームを していて、ただ同じテーブルに座っているだけ にも見えた。 円卓で何人かと大声で笑い、間宮が時折 新田に声をかけ、ふざけて冗談で腹にパンチを したりしてじゃれ合う。 時には肩を組んだり携帯を覗き見たり…。 何気ないやり取りをしている姿に 嫉妬にも似た感情が込み上げてくる。 何気ない時間を、何気なく、あんな風に過ごせる 事がうらやましい。 同じ青春の中に彼らは いるのだ。 誰の目も恐れる事なく、一緒にいられる関係が 眩しくて、見ていられない。 吹き抜けになっている食堂を、2階から見下ろして いた俺を、不意に新田が見つけて、まっすぐ俺を 見上げた。 俺は突然の事にドキッとして、思わず視線を 反らし、あわててその場を離れた。

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