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8. ふたりの青空

1度飛び込んでしまうと、こんなものか、と 恐れは消えて、感覚が麻痺していく。 校内であんな事をしてしまった後は、外で新田を 抱くことへの抵抗はすっかり薄れてしまった。 冬期休暇に入って直ぐに、新田は俺の家に やって来た。 勉強をみてやるという名目で家に上げる。 実際は真っ昼間からずっと二人でベッドにいた。 子供らしい貪欲さで、新田は何度も欲しがって 俺もそれに引きずられるように、若い身体に 欲を注いだ。 「本当に帰らなくて平気か?」 俺のベッドの中で丸まって眠る新田に 声をかける。 時計はもう10時を回っている。 「……うん…出張でいないから… しつこいなぁ……」 半分寝ぼけた状態で新田が応えた。 もう何がなんでも、起きる気は無さそうだ。 繭のように丸まって、顔半分と、右足だけが 羽毛布団からはみ出している。 ふざけて足の裏をくすぐると、もぉ!と 怒りながらサッと足を引っ込め 眉間にシワを寄せて眠る顔を、声を殺して 笑いながら眺めた。 「…… かわいい」 男二人で寝たらぎゅうぎゅうのセミダブルで 新田の背中を抱きしめて、一緒に目を閉じた。 ー ああ、何だろうこの感じ…。 ……幸せ? 「… 誰かと寝るの好き…」 新田が寝言みたいにつぶやく。 同じような気持ちでいたのか、と少し驚いた。 「狭くない?」 「…狭い」 「狭いのかよ」 二人でクスクス笑った。 「でも言い訳しなくていいよね?」 「言い訳?」 「くっつく言い訳。 いつでもベタベタできるじゃん」 「…ハハハ、今さら言い訳がほしいのか」 布団の中で新田がモゾモゾ動き、こちらを向いて 俺の胸に頬をくっつけた。 「朝までこうしてて……」 新田の話し方が、幼い子供みたいで 胸の奥がキューっと締まる。 瞬間的に、これは性的な欲求の話しじゃないと 感じた。 裸で抱き合っていても。 新田が片足を俺の股の間に差し込んでいても。 例え、唇を合わせても、きっとその先を 求めてる訳じゃない。 本当に言葉どうり、ただお互いの温もりを 感じあって眠りたいだけだ。

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