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俺の腕の中で安心した顔で眠る。
その温もりを感じて自分も穏やかな気持ちになる。
生徒とこんな関係になるなんて…
考えてもいなかった。
新田はどういうつもりでここまで来たんだろう。
俺への警戒心は無くなったんだろうか?
怒りや、恐怖心は?
少なくとも一緒に朝まで眠りたい存在では
あるらしい。
そんなつまらない事を喜んでいる自分を
バカだと思いながら、小さな肩を抱きしめて
眠った。
色々な心配や、罪は無かった事にして…。
翌日も昼前まで新田は眠り続けた。
放っておいたら、いつまででも眠り続けそう
だったのでブランチを取るために起こすことに
した。
目が覚めてもボーッとして、なかなかベッドから
出ようとしない。放って置けばまた瞼を閉じて
眠ろうとする新田の頬をペチペチ叩いた。
「早く顔洗ってこいよ、何か食いに行こう」
「……メンドクサイ」
「でも何にも無いんだ、しょうがないだろ」
「下にコンビニあったじゃん
何か買ってきてここで食べようよ。
一緒にいるとこ、誰かに見られたらまずい
でしょ?」
ー 珍しく説得力あるな…。
「……ってゆうかお前…まさか今日も泊まる気?」
ランチをしたついでに家まで送ろうと
思っていた。
家で食べる事になったら、またズルズルと
セックスになだれ込みそうで…そうなったら
もうお泊まり決定だ。
「…ダメなの?」
「ダメって言うか…連泊はまずいだろ…?
送ってやるから今日は帰れ」
「…ケチ」
「はい?」
「何でもないです。
分かったよ帰るから、飯は
コンビニにしよ」
裸のまま抱きついて、お願いされたら
もう断る術なんてないのだ。
着替えを持ってきてない新田は、寝癖も直さず
俺のスウェットを着て、マンションの1階に
入っているコンビニへ向かった。
身長は少しだけ俺が高いけれど、それほど差は無い
でも華奢な新田が着ると、俺のスウェットは
完全にオーバーサイズだ。
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