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8. 5
携帯は数回鳴って切れた。
気にならない訳では無かったけれど
櫂と二人きりの世界を楽しみたかったのだ。
この1LDKの小さなマンションで、外の世界から
二人で隠れるように身を潜めて抱き合って。
他の誰も彼も閉め出して。
きっと長くは続かない一時の幸せを噛みしめて
いたかったのだ。
俺の腕の中で、学校では見せない表情で
悶え、鳴いて、先程までと同じ子供だとは
思えない妖艶さで俺を興奮させる。
これが最後だ。
きっとこれが最後になる。
だからもう少しだけ…。なんて、昨日から何度
思った事だろう。
「センセ…ッ、、前 やめて」
「なんで?…両方攻められるの、好きだろ?」
「…あっ…ヤ…だって…すぐ出ちゃうもん
すぐ、終わりたく…ないの…」
気持ちいいけど、もったいぶれって
ホントにエロいなコイツ…。
そんな風に思いながらも櫂の要求に逆らえず
前を刺激するのはやめて、焦らすだけ焦らして
やった。
これが最後だ。そう思っていれば
突然この関係を解消する事になっても
平気だろう。
いつ終わりが来てもいい。
そんな関係でいなければ…。
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