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「今日そうちゃんち泊めて」 「無理」 「なんでよ。最近全然会ってくれないね」 久しぶりに進に会って、イタリアンを 奢らされていた。 最近全然連絡もとれないし、会ってもくれないから 奢れと言われ、素直に聞いてやる。 最近は急に櫂が来たりするから とてもじゃないが進を泊めたりできない。 「じゃあラブホでいいよ 今日はずっと一緒にいてね」 進が怒ったような顔で、パスタをフォークに まきつけた。 「…わかったよ…」 「で…? 俺を無視して最近贔屓にしてる子は? そんなに悦いの?」 「そういう言い方するなよ……」 俺はため息をついてフォークを置いた。 進の機嫌をとる元気はなかった。 ちょっとした嫌みもピリピリ勘に触る。 スリルと快感は、その最中には気づかないけど 自分で思っている以上に心身を疲弊させていく。 「……どうしたの?体調でも悪い?」 いつもと違う俺の様子に、進は表情を変えた。 「別に … ちょっと疲れてるんだ…」 「新しい恋人と楽しんで、さぞかし浮かれてる だろうと思ったら、そんな沈んだ顔しちゃって… ずいぶん振り回されてるんだねぇ」 「………」 俺が応えずにワインばかり飲んでいると 進が大げさにため息をついた。 「わかったよ。今日はもういい…。 かえろ!」 「…え?」 「今日のそうちゃんとエッチしても 楽しくなさそうだし。食べたら帰ろ」 「…… 怒るなよ」 「怒ってないよ。あきれてるだけ どんな子か知らないけど、そんなに骨抜きに されちゃってさ、ダッサ…」 「………そんなに突っかかるなよ。 ダサくて悪かったな…。ホテル行こう…」 「…… 俺と、したい?」 進がテーブルの上で手を組んで、顔を近づけ 聞いてくる。 「…うん、したいな…」 「本当?この前みたいに“付き合ってやった” みたいな言い方したら許さないよ?」 「しないよ…」 俺が苦笑いすると、進が勝ち誇ったように笑った。 それから少し眉を下げて心配そうな表情を見せる。 「… バカ蒼佑…俺にしとけばいいのにさ…」 俺は何も応えられず、ワインを見つめたまま ただ笑った。

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