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久しぶりに櫂以外の奴として、 思いの外興奮した。 ラブホも久しぶりだったからだろうか 進とゆっくりシャワーを浴びたあとで グッスリ眠ってしまった。 携帯の充電がきれている事にも気づかずに…。 朝までしっかり寝て、これまた久しぶりの 朝帰りをした。 二度寝したい気分を抑え、顔を洗い、出勤する 準備をしていたらインターホンが鳴る。 まだ7時前だ、こんな時間に誰だろう?と 画面を見ると、そこには櫂が立っていた。 「昨日ドコに行ってたの?」 ドアを開けるなり、怒った口調で詰め寄ってくる。 「こんな朝早くどうした!?」 「ごまかさないで!」 「…ちょっと友達と飲みに行っただけだよ」 「携帯切ってたでしょ?」 「充電が無くなっただけだよ、ほら…」 俺は充電中の携帯を指差した。 「……… 1時過ぎまで飲んでたら もう電車なかったんじゃない? 朝帰り?朝までドコに居たの?」 「……1時過ぎって?」 「俺、マンションまで来たんだよ… 蒼佑 居なかった…。1時過ぎまでエントランスで 待ってたけど、来ないから帰ったんだ…」 確かに深夜に来客の履歴がインターホンに 残ってた。でも誰も映ってなかったから いたずらか、間違いだろうと思っていた。 「何でそこまで…学校で毎日会えるのに…」 「だって、携帯が繋がらないからっっ 何で携帯切ってるんだって…。誰と一緒に いるんだろうと思ったら気になって… 家にも居ないし……ねぇ、ドコにいたの?」 全身に汗が滲んだ。 これは…セフレとホテルに行ってたとは 言えない空気だ…。 そんな事言ったら殺されるんじゃ……。 「……だから友達と飲んでたんだって 流れで、そいつの家で家飲みになって そのまま寝ちゃったんだよ」 「…何それ、どういう友達?やったことある?」 「櫂、もう遅刻しそうだ。 また今度話そう!」 そうだ、ここは下手なウソついたらヤバイ ゆっくり考えなければ…。 何を言われても淀みなく答えられるように…。 淀みなくウソをつけるように。

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