70 / 150

13. 6

「は? なんでっ……?」 驚きすぎて舌がもつれる。 何で居るんだ? いや、何でウチに入れたんだ? 「…………だ れ…?」 櫂も声が出てない。 進が物音と声に気づいて、状況も分からないまま 少しだけ頭を上げて櫂の方を見て、驚いて 俺を振り返る。 櫂は微かに震えながら立ちつくす。 俺がベッドから出ようと体を起こすと、それに 反応したように櫂が背を向けて部屋を飛び出した。 「櫂っ ちょっと待てっ!」 玄関で追い付いて腕を掴むと、凄い勢いで 振り払われ そのまま目も合わせず、逃げるように玄関を 出て行った。 俺はドアに手をかけて、追おうとして動けなくなる。 思考が追い付かなかったのだ。 ー ちょっと待て…何だこの状況……!? 櫂はオートロックをどうやって解除した? というか…それはおいといて…これは… 浮気現場を目撃…的な? ド修羅場って感じ? 追っていって俺は櫂に何て言うんだ? 正直に?そうだ正直にありのまま話せばいい。 今まではともかく、昨晩俺は、傷ついた友人を 泊めただけだ。 「…そうちゃん…大丈夫?」 進が部屋の前から、玄関でフリーズする 俺の背中に声をかけてきた。 「……さぁ? 怒ってたね」 俺は平静を装って、無理に笑い部屋に戻った。 「……今のって…新しい恋人?」 そわそわ落ち着かないまま着替えだす俺を じっと見つめ進が聞いてくる。 俺は応えずに、キョロキョロ携帯を探した。 「………ずいぶん若く見えたけど…まさか…」 俺は忙しなく動くのをやめて、進を見た。 「……まさか生徒?」 しばらく応えられず進と見つめあった。 「……うん」 進が眉を寄せて絶句した。 お互い言葉が出てこない。 何も…何から整理したらいいのやら…。 携帯を見つけて開いて見ると、昨日の夜に 櫂から何度も着信があった。 俺は気づかずに進と一緒に寝てしまったんだ。 ー やってしまった…。 俺は深くため息をついてベッドに倒れた。

ともだちにシェアしよう!