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13. 7
進に全て話した。
包み隠さず全部。
進は黙って聞いていた。
時々、大きなため息をつきながら。
話し終えると部屋は気まずい沈黙に包まれた。
「……そうちゃんが
あんな子供に手を出すなんて……」
額に手をあてて肘をつく。
櫂の携帯に何度目かのコールをした。
当たり前のようにトーキーが流れて
繋がることはなかった。
「………俺もビックリしてる…
最初はこんな事になるなんて
思ってなかった」
「……どうするの?これから…」
「どうって……」
櫂が卒業したらちゃんと付き合おう
その時まで関係が続いてたら…。
そんな風に漠然と考えてはいた。
その頃までに、セフレとの関係も整理して
進とも少しずつ普通の友達になるのだと…。
今すぐに何か行動に移そうとは想っていなかった。
「あの子はそんな適当には思ってないね」
「……そうだな」
「鍵まで渡してさ、よく俺を泊めたよね」
「そうだ、鍵……」
思い出した。櫂は何で入ってこれたんだ。
俺は合鍵なんて渡してない。
「管理人さんに開けてもらったとか?」
「身内でもないし…
そもそも平日の日中しか管理人いないんだ」
俺が考え込みながら言うと、進は、ふぅん…と
相づちをうった。
「とにかく…ちゃんとしないと…
未成年の教え子を
もてあそんだ だけの最低教師になるね」
「 … ああ 」
ちゃんと…
何をどうしたら “ちゃんと” になるんだ……。
昼過ぎに進を送って、ついでに櫂のマンションまで
行ってみた。
マンションの駐車場から電話してみても
櫂の携帯は繋がらないままだった。
ー クソッ弁解もさせない気か
少しイラつきながらも
自分が悪いことは間違いないと
思い直し、大人しく帰る。
(昨日は連絡しなくて悪かった
ちゃんと話そう。連絡くれ)
そうメッセージだけ送ったけど
結局、土日の間に櫂からの返信は無かった。
俺は半分どうでもいい気分になり、そのまま月曜を
むかえた。
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