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櫂はどんな気持ちで間宮を誘ったのか…
俺を捨てたくて?俺を忘れたくて?
進を家に連れ込んだ俺への当て付けで?
ただの仕返し?
ひとつだけ分かっていることは
櫂は俺に見せるために、あえてあの場所を
選んだということだ。
そして、どちらにしても俺は
あんな尻軽な真似をする櫂に、感じた嫌悪感を
消すことはできなかった。
自分の事を棚に上げて、と言われたらそれまでだ。
なんとでも言え……。そんな気分だった。
・
・
夜になってインターホンが鳴った。
画面の向こうには顔色の悪い櫂の姿。
「帰れ」
一言いって、通話を切った。
しばらく時間をおいて、玄関の鍵の開く音がした。
俺はそれを無視してリビングでテレビを見続けた。
ゆっくり、静かにオドオドしながら
櫂がリビングに姿を見せた。
「……お前その鍵どうしたの?」
櫂の方は見ずに聞いてみる。
「ゴメ…な…さい」
言いながらテーブルの上に鍵を置いた。
「謝れなんて言ってないよ
どうしたかって聞いてんの」
「作ったんだ…勝手に、、ごめんなさい」
大袈裟にため息をついて、櫂の方を見た。
ズボンはもちろん、上に着ていたフーディまで
色が変わるほど濡れていた。
「お前は傘を持ってなかったの?」
「傘さしてたけど、雨の勢いが強すぎて…」
「………あっそ」
「蒼佑……今日…あんなことして…」
「その呼び方ヤメロ」
「……え?」
「もう、終わりだ」
俺が冷たく言い放った言葉で櫂が凍りついた。
テレビの音だけが部屋に響いている。
俺はその初めて見たドラマを、ストーリーなんて
全く分からないままじっと見続けた。
「ひどい…」
「は?」
「謝らせてもくれないの!?
もともと悪いのはそっちなのにっ…」
声の音量が大きくなり、櫂は勢いのまま
テーブルの上のリモコンでテレビを消した。
「ちゃんと聞いて!」
「じゃぁ 聞くよ!昼間の “あれ” どういう
つもり?」
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