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「……アイツ…あの日、輪姦されたんだ」 「、、え」 「それで、悔しいって… 俺に慰めを求めて来たんだよ。 追い返す事もできたけど、ボロボロの進を そんな風にあしらえなくて…。 でも、それだって言い訳にはならないって 今では思ってるよ。 セフレだった相手をベッドに入れるなんて 櫂がキレて当然だ。 あの夜何もなかったとしても、な……」 俺は手に汗が滲むのを感じた。 あの時、今の話を聞いていたら… 俺は蒼佑を許したんだろうか……? 自分以外にも深い関係の相手がいて… もう終わった相手だと言われて それなのに1つのベッドで夜を明かして 何もなかったんだから心配するな……なんて 言われて………。 ー ダメだ……。事情を聞いても あの頃の俺は、きっと許せなかった……。 きっと同じ事をしでかしてた…。 「……今は?」 「………ん?」 「今は恋人とかいないって言ってたけど その人とはまだ続いてるの? ……その……関係」 「教師やめてしばらく何にもしてなくて 貯金、食い潰しながらギャンブルやったりして ダメ人間になってたんだ。 その1年弱は進の家に居候して、まぁ恋人みたいな 存在だったかな」 恋人、という言葉に胸が痛む。 辛いときに頼られる… そんな存在に自分がなりたかったのに…。 「今の仕事紹介してくれたのも進だよ いいかげん働けっ!! て、ついに家も 追い出されたのが半年くらい前かな… 俺がダメすぎて結局フラれたんだな」 「じゃあ今は会ってないの?」 「時々連絡はとってるけど、今はただの友達 アイツ今狙ってる相手がいてさ、ソイツを 落とすのに必死なんだ」 蒼佑がフッと笑った気配がした。 ウソは無い。全て正直に話してくれた。 そう思ってしまうのは、俺が蒼佑を信じたいから だろうか? でも今の蒼佑からは、教師だった頃のピリピリした 緊張感は感じられない。何を聞いても適当に あしらわれ、誤魔化されてるような… そんな不安もない。 もしかしたら…今やっと…俺を対等に 観てくれたのかもしれない。

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