98 / 150
18. 4
「で!?昨日はどうだった!?」
翌日バイトが休みだった俺は、ルミと
ファミレスに来ていた。
俺は出歩く気分じゃなかったけど
ルミがどうしても昨日のデートの話しを
聞きたいと言うから、しぶしぶ…。
「楽しかった?」
ルミは子供みたいにワクワクと楽しそうな顔を
隠さない。
「う、ん…まぁ最初はね…」
「……ケンカにでもなったの?」
「ケンカって訳じゃないけど…
もう会わないって、言われちゃった」
「……マジ?」
俺はうなずいてコーラをゆっくり飲んだ。
「俺の事は遊びだから、何か期待されても
困るって…そんな感じ?」
「…蒼佑きついねぇ」
「俺、頭真っ白になって、なんも
言い返せなかった…」
「遊びでもいいって言ってやればよかったのに」
ルミは半分冗談のように笑って言った。
「一瞬、俺もそう思ったけどさ…
それだと高校の時と同じになっちゃう」
「まぁね……」
ルミは静かになって、髪を弄びながら
俺の表情を伺った。
「……じゃぁ、あきらめるの…?」
「………う~ん…もう分かんない…」
俺は頭を抱えるようにして、机に突っ伏した。
本当に分からない…。
会う前は会えれば、一言謝れたら
それでいいと思ってたのに。
会ったら…声を聞いたら
触れたくなって
触れたら抱きしめたくなった。
今も触れたい。
体温を感じたい。
あの声で名前を呼んでほしい。
でも、同時に高校の頃の苦しさも
甦ってきた。
毎日 蒼佑の事が気になって、ちょっと他の生徒と
談笑してたりするだけで不愉快だった。
何であんなに色んな事が許せなかったんだろう
自分の物だって…アピールしたくて仕方なかった。
特別な一人じゃなくてもいいから
一緒にいたいと願ったら……
また、あんな風に毎日が蒼佑で埋め尽くされて
何も手につかない日々がやって来るんだろうか?
蒼佑がどこで、誰と、何をしてるのか気になって
それでも会えたときには幸せで…。
本当に俺はそれだけで満足できるんだろうか?
めんどくさいストーカー紛いの存在に
また、なってしまうんじゃないだろうか?
ともだちにシェアしよう!