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「俺のことさっさと忘れて、見向きもしなくなるの 蒼佑だろ……」 「はは……そうかな」 「酷いヤツ、サイテーッ」 「そうだな…それは否定しないよ」 「………最後にキスしてよ」 「………」 「本当に最後なんでしょ? もう絶対に連絡しないから…蒼佑の未来の 邪魔しないから…」 蒼佑は少し視線を落として考えて、 分かった、と小さくつぶやいて 俺の顔を両手で包んだ。 静かに目を閉じて待つと、蒼佑の唇が 瞼に触れた。 俺が目を薄く開けると、同じように目を開けた 蒼佑の目と合った。 かすかに瞳が潤んで見えたけど 直ぐに唇が重なってキュッと吸われて 思わず目を閉じてしまったから、気のせい だったのかもしれない。 俺が強引に舌を突っ込んで、蒼佑の舌に絡めて 蒼佑はそれに応えるように自分の舌を伸ばした。 俺が蒼佑のシャツの中に手を滑らせて 背中を撫でて、キスは終わった。 蒼佑が顔を背けて、俺の体から離れたから。 「…帰るよ」 「もう一回…」 ねだる俺のおでこにキスして、蒼佑は立ち上がった。 俺は乱れた息を飲み込んで呆然と蒼佑の 残したラテを見つめた。 「櫂…また会えて良かったよ 元気でな」 そう言って固まる俺に手を差し出す。 ー どうしよう…蒼佑は本気だ… 本当にもう2度と会わない気だっ どうにかならないだろうか? 何て言ったらひき止められる? 死んでやる!…とか言ってみる? 蒼佑を見上げると穏やかな顔で笑って 俺を見下ろす。 ー そんな事言えない…。 どう考えたって、俺と不毛な関係を続けるより 健全で幸せな未来がそこにはあるんだ。 俺には、どんなに頑張っても あげられない幸せ…。 蒼佑の幸せを思うなら…。 蒼佑の手を握って立ち上がって 首に腕を巻き付けた。 「ギュウ~ って して」 「赤ちゃんか」 笑って言いながら俺の背中をぎゅっと抱いた。 「幸せになってね。蒼佑」 つまんなくて平凡な幸せが 永遠に続いたらいいね。。。

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