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「……ありがと…ルミはいい子だね」 「こら、持ち上げて流さないで 約束ね10年後!」 「ありがたいし嬉しいけど、ルミにはもっと いい奴がいるよ… モテモテで…すぐに結婚しちゃうんじゃない?」 「そりゃそうよ。私にプロポーズされたんだから もっと喜んでよ、櫂」 ルミの言葉は、俺にとって都合のいい事ばかりの 夢のような話しだった。 ルミは適当で軽く見えるけど、ウソはつかないし 真っ直ぐで、真面目な性格だ。 結婚しようなんて、最初は冗談だと思ったけど きっとルミなりに本気で言ってる。 「でも、俺浮気しちゃうかもよ。 めっちゃタイプの職場の同僚とかいたらさ」 「櫂バカじゃないの! それこそゲイもノーマルも関係ないじゃん 浮気する奴はどんな状況だろうとするよ」 「………そっか」 「櫂は私が今まで出会った中で、最高にいい子だよ だから10年後、フリーだったらよろしくね」 ルミが笑って小指を差し出す。 俺も笑って小指を結んだ。 「オッケ。10年後ね」 「うん、10年後…… なあ~んて言って来年、イケメンの大金持ちと 結婚してたらゴメンね!」 「なんだそれ!ちょっとジーンとして損した! っていうか俺だって!超マッチョの外人と 知り合って、同性婚オッケーの国とかに 飛んでたらゴメンね!」 「お!それいいね! マジでイケメンマッチョと知り合ったりしたら その友達紹介してよ!」 二人で大声で笑いあって、くだらない話をして それから、遊び疲れた子供みたいに、本当に 朝まで抱きあって眠った。 自分でも信じられないくらい、穏やかな気持ちで。

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