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20. 6
「……ありがと…ルミはいい子だね」
「こら、持ち上げて流さないで
約束ね10年後!」
「ありがたいし嬉しいけど、ルミにはもっと
いい奴がいるよ…
モテモテで…すぐに結婚しちゃうんじゃない?」
「そりゃそうよ。私にプロポーズされたんだから
もっと喜んでよ、櫂」
ルミの言葉は、俺にとって都合のいい事ばかりの
夢のような話しだった。
ルミは適当で軽く見えるけど、ウソはつかないし
真っ直ぐで、真面目な性格だ。
結婚しようなんて、最初は冗談だと思ったけど
きっとルミなりに本気で言ってる。
「でも、俺浮気しちゃうかもよ。
めっちゃタイプの職場の同僚とかいたらさ」
「櫂バカじゃないの!
それこそゲイもノーマルも関係ないじゃん
浮気する奴はどんな状況だろうとするよ」
「………そっか」
「櫂は私が今まで出会った中で、最高にいい子だよ
だから10年後、フリーだったらよろしくね」
ルミが笑って小指を差し出す。
俺も笑って小指を結んだ。
「オッケ。10年後ね」
「うん、10年後……
なあ~んて言って来年、イケメンの大金持ちと
結婚してたらゴメンね!」
「なんだそれ!ちょっとジーンとして損した!
っていうか俺だって!超マッチョの外人と
知り合って、同性婚オッケーの国とかに
飛んでたらゴメンね!」
「お!それいいね!
マジでイケメンマッチョと知り合ったりしたら
その友達紹介してよ!」
二人で大声で笑いあって、くだらない話をして
それから、遊び疲れた子供みたいに、本当に
朝まで抱きあって眠った。
自分でも信じられないくらい、穏やかな気持ちで。
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