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21. 風
それからもルミと俺の関係は大きく変わったり
しなかった。
今までと同じ…妹のようで姉のようで、友達、
恋人…どれも少し違ってて…。
「昨日の飲み会超つまんなかった」
「え、金持ちイケメン達と合コンだったん
でしょ?」
「金持ちはホントだったけど、べつにイケメンじゃ
ないし、なんか生理的に好きになれないヤツ
ばっかりだった」
「はは…ルミはキツいな~」
そんな会話も、以前と変わらずしている。
1人になって、ぼんやりしていると
蒼佑の残像があふれて、それから逃げるように
勉強やバイトに打ち込んだ。
時々ふと、昔のように出会い系サイトを覗いて
ぼんやりと…朝まで過ごしてくれる相手を探す。
でも結局会うには至らなかった。
まだ俺の中に蒼佑が住んでる。
人生で一番後悔した。
あの日の記憶が蘇って俺を責めるんだ。
“見せしめに男誘うようなヤツいらねーよ”
もうキッパリふられたのだし、今さら
俺が何をしようと蒼佑は気にしないだろう。
それでも、誰かにそれを許したら…
もう本当に戻れなくなってしまう。
ほんの少し繋がっているかもしれない糸を
自ら切ってしまう気がして…。
ルミに言ったらきっと、バカじゃないの!? と
一蹴されるだろう。
そのとおりだ。
でも、俺の中の蒼佑が、冷たく俺を見つめて
それを許さなかった。
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