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通話を切るのと、ほぼ同時にルミが 控え室に入って来た。 「ゴメン、ゴメンお待たせ~」 「ルミ!ごめん!今日ダメになった!」 「えぇ~~~ っ」 ルミが不満げな顔で声をあげる。 「蒼佑が体調悪いんだって!」 「………!? 蒼佑から連絡あったの?」 「蒼佑じゃなかったんだけど、蒼佑の携帯から!」 「なにそれ?どうゆうこと?」 「とりあえず、また連絡するよ! ゴメンねルミ!」 あ、ちょっとっ!と、ひき止めるルミに、ろくに 返事もしないまま、バタバタ部屋を飛び出した。 駆け足で駅へ向かう。 待ち合わせに指定された駅は都外だった。 とはいえ、電車で20分程度。 確かに、帰る頃はもう終電に間に合わないだろう。 でもそんな事は大した問題じゃない。 後で考えればいい。 少しの不安は、電話してきた蒼佑の“友達”だ 蒼佑の目を盗んで蒼佑の携帯から連絡してこれる。 それだけ親しい間柄。 (奥田 進です) 最後に自分の携帯番号と自分の名前を名乗った。 あの日、蒼佑の家にいた…。 たしか再会してから蒼佑が、進、と呼んでいた 気がする。 ー あの、すすむ? 訳がわからない事だらけでも どうでもいい。 とにかく蒼佑がどんな状況なのか 確認するまで落ち着かない。 辛いときに支えるのは自分でありたいと思った。 罵られても、二度と会えなくなってもいいんだ。 絶対に蒼佑の居場所を聞き出して、今度は 自分がその役目を果たしたい。 事情は分からなくても、込み合う電車の中で 暗い窓の外と、ガラスに映る自分を見つめながら 強く強く、心が揺らがないように繰り返した。

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