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顔をしかめたくなるほど、耳が痛かった。 蒼佑をそうさせた…原因を作ったのは俺だ。 人気者で、キラキラ輝いてた。 あの頃の蒼佑を思い出す。 安定した日々を俺が壊した。 「どうして そうちゃん学校辞めたと思う?」 「………俺の顔を見るのも嫌になって…」 「言うと思った」 「……?」 「まぁ 無関係とは言わないけどさ そうちゃんは君を責めたりしてなかったよ ずっと自分に絶望してた。 教師以前に人でもないって……。 君に暴力を振るった事を死ぬほど後悔してた」 「え、、」 「俺はアイツの人生に関わっちゃいけなかった 近くに居たら、きっとまた傷つけるって」 手足が冷えていく。 悲しいのか、嬉しいのか、、わからない。 心臓が小刻みに震えて…。 そんな風に思ってたなんて、考えもしなかった。 「だから再会するのも、ずいぶん悩んでたよ でも、もしかしたら君もあんな風に別れて 気持ちの整理ができてないかもしれない それならちゃんと話して、わだかまりを消して 前に進ませたいって」 ルミが連絡先を渡して、俺に連絡がくるまで 少し時間がかかったのは、そんな事情だったんだ。 「でもさ、いろいろ言ってたけど…結局 君に会いたい気持ちに勝てなかっただけだと 俺は思ってるけどね」 進さんはテーブルの上に手を組んで笑った。 それからまた、ため息をついて少しうつむく。 「………で、一月前だよね。 最初は風邪ひいたって、確かに熱もあったりして ちょっと食事届けたりして… でも、風邪治った後も、いまいち元気なくて あれ?おかしいなって…で、最近になって職場で 倒れて…」 「え!?」 「うん。なんかおかしなって思って 問い詰めたら、あんまり食べてないって。 食べても吐いちゃうんだって…」 「蒼佑…どうしたの…?」 「だから、恋患い。 櫂君と再会して、君への思いが爆発して 別れて、辛くなって、心が追い付かないって 感じかな? あ、っちゃんと消化器科とか受診して からだの方の問題じゃないって確認済みだから 心療内科を勧められたんだって」

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