123 / 150
22. 2
「はい、じゃぁこれ……」
しんと静まり返った住宅街のマンションの前で
進さんから、部屋の鍵とビニール袋を受けとる。
中にはバナナとリンゴ、数本のミネラルウォータ。
「リンゴは成長作用があるんだって…
細かく切るか擦ったら食べられるって
言ってたから」
「進さん…ありがとう」
「ううん、俺こそ…頼っちゃってごめん
櫂君なら…何か変えられる気がして…
そうちゃんの事、、よろしく」
どちらからともなく、軽くハグして離れた。
「あ、あとこれ…」
手渡されたのは蒼佑の携帯だ。
「来たとき持ち出したんだ。
そうちゃんめちゃめちゃ怒るだろうな~
さりげなくソファーのクッションの下とかに
戻して」
「なかなか大胆な事しますね…」
進さんはへへへ、と、そんなに反省もしてない
顔で笑った。
「じゃぁ、またいつでも連絡して」
「はい!行ってきます!」
俺は自分に気合いを入れてマンションに入った。
振り返ると進さんがポワンと微笑んで
こちらを見てた。
俺はそれに軽く会釈して、エレベーターに
乗り込んだ。
ともだちにシェアしよう!