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「はい、じゃぁこれ……」 しんと静まり返った住宅街のマンションの前で 進さんから、部屋の鍵とビニール袋を受けとる。 中にはバナナとリンゴ、数本のミネラルウォータ。 「リンゴは成長作用があるんだって… 細かく切るか擦ったら食べられるって 言ってたから」 「進さん…ありがとう」 「ううん、俺こそ…頼っちゃってごめん 櫂君なら…何か変えられる気がして… そうちゃんの事、、よろしく」 どちらからともなく、軽くハグして離れた。 「あ、あとこれ…」 手渡されたのは蒼佑の携帯だ。 「来たとき持ち出したんだ。 そうちゃんめちゃめちゃ怒るだろうな~ さりげなくソファーのクッションの下とかに 戻して」 「なかなか大胆な事しますね…」 進さんはへへへ、と、そんなに反省もしてない 顔で笑った。 「じゃぁ、またいつでも連絡して」 「はい!行ってきます!」 俺は自分に気合いを入れてマンションに入った。 振り返ると進さんがポワンと微笑んで こちらを見てた。 俺はそれに軽く会釈して、エレベーターに 乗り込んだ。

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