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23. 愛する事

翌日は俺が死んでた。 学校も休んで、バイトも休んで。 ルミと、進さんから何度か連絡があったけど とても誰かと話す気分じゃなかった。 外の世界を遮断して、どっぷりと暗い闇の底に 沈んで、廃人のように眠り続けた。 午後になって、ルミに昨日はゴメン、と メッセージを送った。 今日は死んでるから、明日また連絡する、と。 了解 、と だけ返信が来た。 夜になって、進さんからまた着信があり 無視し続ける気力もなく、ブーブーと鳴る振動音を ただ止めたくて、条件反射のように電話に出た。 (ゴメンね…昨日…本当にタクシーで 帰らされたって?) 「……はい…」 (俺もめちゃめちゃキレられた…) 早朝電話で呼び出され、さんざん詰られたらしい。 携帯を勝手に持ち出した事以上に 俺に連絡した事を。 俺にだけは知られたくなかったと…。 (そうちゃんがあんなに意地っ張りだと 思わなかった…あんな時間に君を帰すなん…) 「俺……もう疲れちゃって…」 (櫂くん…) 「蒼佑の気持ちが分からなくて… そしたら自分の気持ちも分からなくなって…」 (自分の気持ち?) 「前に蒼佑が言ってたの… 俺は蒼佑のこと好きなわけじゃなくて 蒼佑とのセックスに依存してるだけで それを愛だと勘違いしてるって」 (めちゃくちゃな事言うな…そうちゃん…) 「俺も最初聞いたとき コイツなに言ってんだって思ったけど ずっと考えてたら…… なんか、どんどん分かんなくなってきて…」 (…じゃぁ、もうやめる?) 「………」 (あんな男ほっといてさ、そうだよ 俺、良い男知ってるから…紹介してあげる) 「……え、、」 思いもよらない進さんの提案に、動揺した。 (次はさ、全然違うタイプと付き合ってみたら? 後で写真送って上げる、どっちが好みか 教えてよ、好きな方紹介してあげる) 「…… いい … いらない」 (…… 何で ?) 「…今は そんな気になれない… しばらく…誰も好きにならなくていい」 俺の事を好きな自分は嫌いだと言った…。 それなら俺は、蒼佑以外の男を好きな自分が嫌いだ。 今は…まだ。

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