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23. 3

(そろそろ落ち着いた?) 進さんから連絡が来たのは2週間ほど 経ったころだった。 「まあ……落ち着いたと言えば…」 (元気無いな~ 約束どおり奢るからさ! なに食べたい?) 「なんでも…」 (……なんか本当に覇気が無いけど大丈夫? 今度はそっちが体調崩すとかやめてよ?) 「……大丈夫です」 (……そうちゃんはね…ちょっと元気出てきたよ) 「……え?」 (君が来て、俺に激ギレして、すぐ食べ始めて 最初は無理してるのかと思ったけど… つづけて食べてるし、仕事も復帰して 問題なく働いてる…だから大丈夫) 「……そっか…良かった」 青白く、肉の落ちた蒼佑の顔を思い出す。 ー 元気になって良かった… その知らせは、少しだけど 俺の心を明るくした。 (じゃあ来週末ね!店、適当に決めとくから) 進さんは、少し強引に約束して電話を切った。 俺は少しは蒼佑の助けになったんだろうか? 俺の事なんて全然関係なく、蒼佑は蒼佑の 言っていたように、時間とともに一人で気持ちの 整理をしたんだろうか? 俺は、まだだけど…。 ・ ・ 約束の日、訪れた事の無い駅に呼び出された。 駅周辺は週末らしい人の多さで、人込みが 久しぶりな俺は、その騒がしさに、 もう、うんざりしていた。 「あ、こっちこっち」 待ち合わせ場所に先についていた進さんは 俺の姿を見て軽く手を上げた。 以前会った時と同じ、ナチュラルな力の抜けた 服装が、このギラギラした街と不似合いで 進さんがこんなところに呼び出すのが不思議に 思えた。 「イタリアンのね、美味しい店があるんだ チーズ平気?」 「はい…魚介は得意じゃないですけど…」 「そうなんだ?そうちゃん魚介、 結構好きだよね?」 「………」 「あ、ゴメンね…。 もうアイツの話しはやめようね 共通の話題が彼だけだから、つい 口から出ちゃって…」 「気にしなくていいですよ。 そっか…蒼佑 魚介好きだったんだって… 俺たち外で食事したこと、ほとんど無かったから そういう話題にならなかったんだなって…」

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