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「そ、ゲイの仲間で集まるパーティー 知り合いの紹介がないと入れない会員制」 「は!?」 「俺とそうちゃんも、そこで知り合ったんだ」 「……えっと、ちょっと待って…」 「行く前に誘ったら、絶対に行かないって 言ったでしょ? 大丈夫、けんちゃん主催者だし、皆 けんちゃんの連れてる子にむっちゃしないよ 意外と、気の合ういい子見つかるかも しれないじゃん?」 「いい、いらない! 進さん帰ろうよ」 俺は動揺して声がうわずった。 「でも、もうついちゃったし… ね、別に 気にいらなければ、軽く一杯飲んで 雰囲気だけ見て、すぐ帰ったらいいからさ?」 車は大きな洋館の横にある、広めの駐車場に 入って行く。 中を覆い隠そうとするように 背の高い植栽が敷地をぐるりと囲んでいた。 辺りは明るい建物もなく、それほど高さのない ビルや、資材置き場。 数メートル先には高速の高架橋が見える。 そんな場所に、地中海の洋館のような建物が 魔法のように現れて、そこだけが煌々と明るい。 胸騒ぎ…。 「なんか本気で怖いんですけど…」 「最初は俺もビビったけど…慣れれば面白いよ 誰も自分を否定しない空間。経験したこと ないでしょ?」 言いながらドアを開けて、進さんは車から降りた。 首を傾けるように促されて、俺もしぶしぶ車を 降りる。 「じゃ、楽しんで」 進さんは満面の笑みで、ポンと俺の肩を叩くと また車に乗り込んだ。 「……はい?」 顔が固まる俺に、なおも笑いかける。 「俺は今日はここで待ってるから けんちゃんと仲良く行ってきて!」 振り向くと、モデルのようにスラリとした スタイルまで完璧な “けんちゃん” がため息を ついて、行くぞ、と一言。 「いや、ムリムリ!俺人見知りだし 進さん居なかったら俺、あの人と何 話せばいいの!?」 「そんなの平気だよ!ぜーんぶけんちゃんに 任せとけば。けんちゃん頼んだよ!」 進さんは勢いよくドアを閉めて中からガチャっと 鍵をかけてしまった。 無邪気に車の中から手を振られる。 ー なんだこの状況!?

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