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25. 無責任

「……離して下さいよ…ケンさん関係ないでしょ」 「何で? 関係つくるのにお前の許可がいるの?」 ふたりは掴まれている俺の事はまるで無視して 勝手に会話を続ける。 回りの男達は見てみぬふりをしたり、露骨に ジロジロ見て面白がったり、完全に見世物に されているようだ。 「おまえ、ふったヤツの付き合いにまで口出すの? コイツが誰と何しようと関係無いのは お前の方で、俺じゃないよ。離せ」 ケンさんが、蒼佑の腕を掴んで、俺の腕から 引き剥がそうと力を込めた。 ー え、何コレ…。イケメン二人が 俺を取り合って一触即発…みたいな… いや、バカ。笑ってる場合ではない。 どうして蒼佑が突然現れたのかは 分からないけど、この状況はどう見ても… 俺がケンさんの誘いに乗って、のこのこ こんなパーティーについてきて まんまと食べられそうになってる…。 そんな感じにしか見えないだろう。 「ケンさん やめて」 俺はそっとケンさんの手を振りほどいた。 それを見て蒼佑が、ちょっと乱暴に 俺を自分の後ろへ隠すように引っ張った。 俺は素直に蒼佑の後で息を潜めた。 「……しつけのいいペットだな」 「……」 「それで?連れて帰ってどうすんの? こんな所にくるなって しかりつけて 家に送ってやるの?それは誰の為なの?」 ケンさんはずっと冷静で、声を荒げる様子はない。 半分笑って俺と蒼佑を交互に見る。 「ケンさんだって、何にも考えてないでしょ コイツと寝たとして、べつに恋人にする気が あるわけじゃないくせに…」 「俺が本気になれば文句ないの? 遊びじゃなくて本気で付き合うって言ったら」 「ちょっ、、何勝手に……」 俺を無視して、俺をどうするとか 勝手に決めないでほしい。 何でこんな会話になってるんだっ! 「……ダメです」 ー え…? 俺の腕を握る、蒼佑の手にギュッっと 力 が入って、俺は蒼佑の顔を見上げた。 …とはいえ、俺は蒼佑の背中を見上げただけで 表情までは見えなかったのだけど。 「コイツはダメです。 ひいて下さい…」

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