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「俺を助けに来てくれたってこと?」
「………まぁ、そうだな…」
「ーーー蒼佑っ!」
震えるほど嬉しくて、今度は俺から
蒼佑に抱きついた。
蒼佑はそれを拒む事なく、優しく抱き返してくれて
その手の温度に涙が出そうになった。
「ケンさんに連れてかれそうになってる
櫂を見つけて、あ、これは進にやられたなって
気づいたんだ」
「…でも助けてくれたんだ?」
「………本当は一瞬迷った。
ケンさんと一緒なら危ない事なんてないし
あの人いい加減だけど、いい人だから
…櫂もきっと好きになるだろうなって…」
俺は無言のまま蒼佑の首に回した腕に
力を込めた。
「でも、櫂が嫌がってる顔が見えて
そしたらもう何も考えられなくて
つい…」
「…そうすけ」
「……勝手でごめん…」
蒼佑が離れようとするのを
ひき止めようと、俺はさらに強く蒼佑に
しがみついた。
「蒼佑、怒ってないの? 俺があんな所行って」
「ケンさんも言ってたけど
俺、怒れる立場じゃないし…っていうか
そろそろ離れて、帰ろう」
蒼佑がクスクス笑いながら、俺の頭をポンポン
叩いた。
「ヤダヤダ、帰りたくない!」
「俺は早く帰りたいよ。こんなトコじゃ
エッチできないだろ」
「!!!」
「…お、離れた」
蒼佑がニッと笑って運転席に座り直す。
「え?……嘘ついたの?」
「さあ、どうしようかな…」
蒼佑がニヤニヤ笑ってシートベルトをしたので
俺はムッとして自分のシートベルトを外した。
キョトンとする蒼佑を無視して、蒼佑のウエストの
ベルトに手をかける。
「お、おい、ちょっ…待て待て…」
ファスナーをおろして中へ手を突っ込んで
グッと握ると、蒼佑があわてて腰を退いた。
「ホテルも蒼佑ん家にも行かないなら
ここでするっ」
「こ、こら、バカ……!」
シートベルトを外して、パンツを引きずり
下ろそうと頑張っても、狭い車内で思ったように
上手くできなかった。
「ちょっと、腰上げてよ!」
「上げるかバカ!」
言うと同時に、蒼佑が逆に俺を助手席に
押さえつけ、噛みつくように唇を重ねた。
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