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抱く感情2
し、信じられない…。
これは夢か?夢なのか?
だってあの幸だぞ?
一匹狼で誰とも連まない
10年そこそこの付き合いがある俺にさえ一線を引いてくる幸だぞ!?
「……お前、雪永くんと仲良かったの?」
「いや。今やってるドラマが初対面だ」
「……」
もう訳が分からなくて混乱してくる。
こいつがこんなにも心を許すなんて。
なんだそれ、めっちゃ興味が湧くんだけど。
「……なぁ。それって俺も行っちゃ…」
「死んでも来るな」
「デスヨネー…」
物凄く冷たい声で断られ、顔が引き立った。
何もそんなに拒絶しなくても。
俺ってそんなに嫌われてる?
「で。さっさとお前は俺の質問に答えろ」
「え?なんだっけ?」
「お前な…」
「あーはいはいハーブのことだよな!俺もよくは知らなぇけど、一回姉ちゃんの買い物付き合った時行ったことある!」
「だったら今度案内しろ。じゃ、話は終わりだ」
そう言って立ち上がる幸。
用が終われば即帰るのかよ…。相変わらずだ。
だからこそ、雪永くんのことには驚いた。
確かにあの子の芝居は惹かれるものがある。
でも、それだけであの幸があんな顔するか?
あんな、優しい顔なんて…。
「……もしかして、ハーブがどうこうってのも雪永くん関係?」
早々に帰っていく幸の背中を眺めながら、
俺はなんとなく浮かんだ考えを呟いた。
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