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抱く感情7

「「……」」 打ち付ける雨に、激しい突風。 ガタガタと窓が揺れる音だけが、部屋で音を発している。 外の光景に互いが言葉を失う中、次には戸惑いながら雪永が口を開いた。 「…そういえば。夜遅くから、嵐、でしたっけ…?」 迂闊だった。 そんな遅くまで飲む予定ではなかったから、見落としていた。 そういえば何やら天気予報で言っていたような気がしなくもない…。 何も言えなくなっている俺の様子を見て おずおずと隣に並んだ雪永はこちらの顔を覗き込んできた。 「きょ、今日は、泊まって、ください…」 「……本当にすまん」 「い、いえいえっ。そんなすまなくなんてないです…!あっ、シャワー浴びますか?スッキリしますよ?ホクホクですよ!」 「……」 テンパって日本語がおかしくなっている雪永。 しかしそれを指摘できる気力があるわけでもなく、 俺は頭痛のする頭を抑えて溜息を吐くのだった。

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