26 / 108

ハーブティー3

「ほ、ほんとに幸さんだ…」 「ん?だからそうだと言っただろ」 携帯を耳に当てたまま扉を開けたら幸さんがいて、 間抜け面で思ったことを呟けば彼は首を傾げた。 そんな彼をボーッと見上げていたが、やがて我に返り「どうぞどうぞ」と中に入ってもらう。 中に入ると彼は不意におれの頭に手をやった。 「今日は眼鏡なんだな。あと、寝癖すごいぞ」 「へ?」 顔を上げれば、幸さんはフッと微笑んだ。 それに体がピキッと固まる。 わ、笑った…! つい写真を撮りたくなるが、カメラ持ってないし、携帯の使い方もよく分からないので断念する。 「電話、切らないのか?」  「で、んわ?あ、はい、切ります」 不思議そうに指摘されて、オロオロと赤いボタンを押す。 そしてやっと、根本的な疑問を幸さんに尋ねた。 「あの、幸さん。どうしたんですか…?なんで、家に…」 「ハーブティー」 「へ?」 「あれって、どんなハーブでも作れるのか?」 「ま、まぁ…。やり方変わらないですから…」 状況の分かっていないままに、幸さんは持っていた紙袋を差し出してきた。 「これ、飲ませてくれ」 「?」

ともだちにシェアしよう!