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ハーブティー4

千里の目が文字通り点になる。 そんな相手の言葉を、俺は黙って待った。 「ハーブティ飲む為にここに?」 「ああ」 「折角の休みなのに?」 「ああ」 「ハーブティ飲む為に?」 「それ2度目だぞ」 今度はその目を見開いて、口もポカンと開けて呆然としている千里。 その間抜け面に可笑しくなる。 5秒ほど経ってからやっと動き出した彼は、「い、今準備します…!」と躓きながら部屋の奥に向かって行った。 「おい、ハーブ置いてってるぞ」 「あ!」 動揺する千里。 引きこもりだと言っていたから、こんなことには不慣れなのかもしれないな。 あぁ、ずっと見ていたい。 「わぁ、これアンジェリカルートだ。飲んでみたことなかったんですよね」 「一目見て分かるのか」 「ハーブのいろいろな本、何回も読んでますから」 「へぇ。…なんでそんなにハーブを?」 何の気なしに尋ねた質問だったが、 彼はピタッと手の動きを止め、黙り込んでしまった。 不思議に思って声をかけようとすれば、彼が顔を上げ笑みを浮かべる。 「身近に、ハーブが好きな人がいたので」 「…そうか」 言いながら取り出したハーブは、白く小さな花がいくつも密集する一見弱々しいハーブだ。 何故これにしたのかは、店員にスパイシーな香りがすると聞いたから。 説明を聞いて即これにすると言った俺に、 間瀬は「お前ほんと辛いの好きな」と笑っていた。 余計なお世話だ。

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