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ライバル出現?7

広瀬の芝居に、幸は面白くなさそうに眉を寄せていた。 あいつ、意外にも上手いな。 絶対顔だけの男だと思っていたのに、芝居の基礎を分かっている立ち振る舞いだ。 千里との会話のテンポも掴んでいる。 これは難癖をつけられそうにない。 監督からのOKが出て、再び周りが動き出した。 幸がグルル…と獣のように遠くの広瀬を睨み付けていると、隣にいた樹が苦笑いで耳打ちしてくる。 「広瀬のやつ、真剣に芝居に向き合い出したのは最近らしいぜ」 「は?」 「今まではなぁなぁでやってたらしいんだが、なんでも雪永くんの芝居を見て変わったんだとよ」 「…なんでそんなこと知ってるんだ」 「ん?本人に聞いたから」 打ち解けるの早過ぎだろ。 どんなコミュ力だ。 それが本当なら、広瀬が千里のファンだというのは事実なのだろう。 もしかして、それ以上の何かがあったりしないだろうな。 遠くで千里と楽しそうに話す広瀬を眺め、複雑な気持ちになった。 「いやぁ!今日はマジで充実した1日でした!ありがとう雪永さん!」 「わぁ!?こ、こちらこそ、楽しかったです…っ」 撮影が終わって早々千里にハグをする広瀬。 こんなテンションの高い広瀬は珍しいらしく、周りからは「おぉ〜」というよく分からない感嘆の声が起こった。 「すごいな、流石は雪永くん」 「あの問題児にすっかり懐かれてんじゃん」 「雪永くんの癒しオーラは世界を救うな」 周りが何かを話すのも耳に入らず、 俺はわたわたする千里と、満面の笑みで彼に抱きつく広瀬を睨みつけるように見つめる。 気安く千里に触れるな。 お前散々今日千里と絡んだのにまだ拘束するつもりか。 千里が困っているのが見て分からないのか、いいから千里から離れろッ。 そうして気づけば体が動いていた。 2人へと歩み寄り千里の腕を掴む。 そして勢いよくその腕を引き、千里を抱き寄せた。

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