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ライバル出現?8
周りがさらなる驚愕に瞠目する中、千里の顔を胸に押し当てて幸は広瀬に視線を向ける。
「悪いな。これから俺は千里と約束がある」
「むぐ…!?」
腕の中で千里がおかしな声を上げたが今は流した。
対面する広瀬は面白くなさそうに顔をしかめる。
「…約束ってなんすか」
「それをお前に言う義理はない」
「っ、適当なこと言ってないですよね?本当に2人、親しいんですか?」
「下の名前で呼び合うくらいには。それに何度も家に行ったこともある」
「え」
固まる広瀬に千里はまずいと感じたのか、ぷはっと俺の胸から顔を出して弁解をし出した。
「いやっ、幸さんは…えと、ハーブを、たくさん持ってきてくれるんです…っ。だからおいしいハーブティーが飲めて、お菓子も食べて、とても、楽しいんですよ…!」
腕をブンブン振って一生懸命話す千里は愛らしいが、正直弁解になっていない。
というかこれは弁解のつもりなのか?
寧ろさらに広瀬の傷口を抉っている気がするが。
そんなことを思いながらも、敢えて指摘はせず、千里の肩に腕を回す。
「じゃあ千里、行くぞ」
「へ?あ、えと…?」
混乱する千里に構わずに歩き出す。
周囲はそんな一連の光景を、まるで信じられないものを見るように呆然と眺めていた。
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