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ライバル出現?9

「なんだよあのおっさん!雪永さんにベタベタしてさぁ!」 そう言ってキーキー喚き立てる広瀬に、偶々一緒にいた樹は苦笑いを浮かべた。 なんでドラマ外でも三角関係が出来上がってるんだよ。 雪永くんは上手く受け流せるような子じゃなさそうだしなぁ。 というか気づきもしなさそう。 …ってか、幸がおっさんなら1個上の俺もおっさんじゃね? 「ちょっと顔がいいからって!雪永さんはあの人に誑かされてるんです!ポワポワしてるところを付け入られてるんです!」 「ちょっとっていうか、めちゃめちゃ美形だけどなー」 ハハハと薄っぺらい笑みを浮かべて自販機で缶コーヒーを買う。 ポワポワしてるとこに付け入られるって、初めて聞いたな。 普通付け入るのは弱みとか隙とかじゃないかい? そうしてプンスカ怒っている広瀬くんの姿は年相応のもので、随分と子供っぽく見える。 こういうの見せられると、やっぱ自分はおっさんなのかと自覚させられるものだ。 そう1人で勝手に落ち込んでいると、 不意に広瀬くんの携帯が鳴った。 未だ怒ったまま連絡先を確認した彼は、途端にその目を輝かせる。 あ、きっと雪永くんからだな。 この子ってめちゃ分かりやすー。 メッセージは、どうやらいきなり帰ったことへの謝罪のようだった。 雪永くんはこういうところはちゃんとしている。 「まったく、先が思いやられるねぇ…」 すっかりデレデレになっている広瀬に樹は溜息をついて、今後の撮影に不安を抱くのであった。

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