39 / 108

ライバル出現?11

「えと、ハーブティー、飲みます?」 「…悪いな。いきなり押しかけて」 「いえいえ。でも、急にどうしたんですか?」 キッチンへ向かう彼にそう問いかけられ、少しの間を置いて口を開く。 「…千里は、広瀬のこと、どう思う」 「え?広瀬くん、ですか?」 予想外だったらしくその大きな目をパチクリさせ、千里はうーんと腕を組んだ。 「元気な人、ですよね。演技もお上手ですし。今日の掛け合いも、やりやすかったです」 「……そうか」 また胸のあたりにモヤモヤとした何かを感じ始める。 自分からこの話を持ち出したくせに、面白くない。 向こうでハーブティーを作る千里を眺める。 小さくて、ふわふわしていて、暖かい。 今更ながら、先程撮影現場で彼を抱き寄せてしまったことを思い出した。 とても華奢な体だった。 腕の中にすっぽりと収まって、ほんのり甘い香りがして… 「おまたせしました」 「っ、…あぁ、ありがとう」 我に帰ると、目の前にカップが置かれていた。 一口飲めば、じんわりと体が暖かくなる。 千里も幸せそうにハーブティーを飲んでいる。 ちょこんとカーペットの上に正座している姿は、大福のようで可愛らしい。 「あ。そうだ。お菓子持ってきますね」 彼を眺めて和んでいると、そう言って千里が起き上がろうとした。 しかし… 「わっ」 「!」 足を引っ掛けてバランスを崩す。 俺は咄嗟に手を伸ばしていた。 倒れる前に、彼を抱きとめる。

ともだちにシェアしよう!