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ライバル出現?12

「あ、危なかったぁ。ありがとうございます、幸さん」 お礼を言う彼に、俺は言葉を返さなかった。 先程思い出していた千里の小さな体や甘い香りに、心が揺さぶられる。 ……離したく、ない。     「…あの、幸、さん…?」 「…千里」 抱き寄せると、その体がピクリと震えた。 いけないと分かっているのに、もっと触れていたいと思ってしまう。 好きだ。 俺は千里に、恋をしている。 そう自覚してから、この想いが止められない。 だから…… 「ごめんなさい…っ」 「!」 グッと胸を押され、体が離れた。 一瞬何が起きたのか分からず、少し経って彼に拒絶されたのだと気づく。 俺を押す千里の腕は震えていた。 怖がらせてしまったのだろうか。 咄嗟に謝ろうとした俺の前に、彼が小さく呟く。 「おれは、汚れているので…」 「……ぇ」 あまりに弱々しい声でそう告げた彼は、 いつもの笑顔からは想像できないような、 辛そうな顔をしていた。

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