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災い6

「入れ」 「でも…」 「今更だろ。それに夜も遅い」 「……お邪魔します」 俺の住むマンションまで連れてきた千里は、躊躇いながらも玄関を上がった。 あれから有無を言わさず電車に乗りここまできた。 何故そうしたのか、自分でも分からない。 けれどあのまま千里を1人で返したくなかったのだ。 「……あの男と、どういう関係だ」 「…っ」 千里自身もまだ動揺しているし、今は何も聞かない方がいいのかもしれない。 それでも、聞かずにはいられなかった。 このまま有耶無耶にされたら堪らない。 「連絡ってなんだ」 「……」 千里は俯いたまま答えない。 けれど、なんとなく察しはつく。 あの男は、そういう目で千里を見ていた。 『おれは、汚れているので…』 そう言った彼の表情が頭を過ぎる。 「あいつに何をされてる」 「……何も、ないです」 「そんなわけ…」 「関係ないじゃないですか!!」 声を荒げた千里は、ハッと我に返ったように顔を上げた。 そして苦しそうにくしゃりと顔を歪め、再び俯く。 「すみませ…」 「関係ならある」 「……ぇ」 腕を伸ばし、その体を抱き締める。 咄嗟に抵抗しようとする千里の顎を掴んで、 俺は強引に口付けていた。 「ちょっ、ん、んんぅ…!」 もがく千里を抱き締めることで拘束する。 小さな唇を無理やりに開かせ舌を入れた。 口付けを深くし、逃げる舌を絡めとる。 息が上手く吸えないのか、漏れ聞こえる声に体が熱を帯びる。 何も考えられないくらい、滅茶苦茶にしてやりたい。 あの男とも口付けをしているのだろうか。 それ以上のことも…。 千里の乱れた姿や、甘い声を、あの男に…。 「やめてください!」 バッと俺の腕から逃れて距離を取る千里。 白い肌を紅潮させ、荒い息遣いでこちらを睨みつけてくる。 「なんでだよ。あいつとはヤルのに、俺は駄目なのか」 そう口に出して、しまったと息を飲んだ。 目の前の千里が、傷ついた顔をする。 ああ、違う。 こんなことを言いたいわけじゃない。 俺は、ただ…。

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