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愛しい人6
悲しそうに微笑みながら、そう悠斗さんは言った。
告げられたおれは、無言で彼を見つめていた。
そして次には彼に顔を寄せて…
その唇に、自分のを重ねる。
すぐ顔を離せば、ひどく驚いた様子の悠斗さんが、おれを見つめていた。
「っ、…ち、さと…?」
「おれがなる」
「…ぇ」
「悠斗さんの唯一無二に、おれをさせて」
「…っ!」
ほっこり。
ぽかぽか。
とくん、とくん。
この感覚がなんなのか。
幼い自分は分からなかったけれど、今ならその答えが分かる。
少し抜けてて、誰よりも優しい。
ほのかなハーブの香りがする彼に、
おれは恋をしている。
おれの言葉に、悠斗さんはくしゃりと顔を歪めた。
今にも泣きそうな顔をして、次には強く抱きしめられる。
2度目の口付けを求めたのはどちらが先だったか。
眩暈がするほど甘く、涙が出そうなほど幸せなキス。
おれたちはきっと、出会ったその日から互いに惹かれあっていた。
明らかに心に欠けた何かがあって、それを補い合うように、寄り添うように。
側にいてほしい。
ずっと、この人の隣を歩んでいたい。
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