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愛しい人12
「は、ぁ…んんっ」
「へぇ。ここも感じるのか、お前」
胸を弄られ、ピリピリとした痺れが走る。
体を捩らせるその体には、もう何も纏ってはいなかった。
ベッドのシーツに溶け込む透き通るような肌に、美しい体のライン。
千里の姿に、相手の男、須藤は目を細めて笑う。
控えめな喘ぎ声に、ズクリと下半身が刺激された。
どこぞの女の無駄に鼻にかかった不快な声より断然そそられる。
「それは、前の男にでも仕組まれたか?」
「っ、なに、が…っ?」
「ふ、…まぁいい。この感じだと、随分お預けだったようだな」
「は、ぁっ…」
胸の蕾を口に含みながら、ゆっくりと手を下に移動させていく。
ベッドがギシギシと音を立て、何度も中に打ち付けられた。
自分のことなのに、さっきからどこか人ごとのような感覚が続いている。
もう、どうだっていい。
何もかもが、どうでもいい。
「はは、…気に入ったぞ。俺のモノになれ、千里」
「っ、は…る…」
微かに囁かれた言葉を奪うように唇を塞がれた。
それはまるで、彼の名前さえも千里から奪い去ってしまうように。
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