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残滓8

1人であたふたしていると、電話越しにため息が聞こえる。 答えるのが遅くて怒らせてしまっただろうか。 謝ろうと口を開いたが、その前に彼に『すまない…』と謝罪されてしまった。 またわけが分からず目をパチクリさせる。 どうしよう。ただでさえ頭が回らないからついていけない…。 「あの、その、えと…、な、なんで、幸さんが謝るのでしょうか…?」 『いや、こちらが慌ててしまって、混乱させてしまっただろ?目パチクリさせてあたふたして』 「え。……電話って、相手の姿見えるんですかっ?」 『いや、別にテレビ電話ではないから。ただの推測だ』 「……テレビ、電話?」 聞いたことはあるけど、なんだっけ? やったことないな…。 というか、なんでわざわざ電話するだけなのにテレビ要素がいるんだろう…。 というかどういった点がテレビ? 『千里?どうかしたか?』 「へ?…あ、ぁあはいっ、なんでしょうかっ?」 『君を不安定な状態のまま1人にしてしまったから、心配になった…。でも何回電話しても出ないし、メッセージも』 「え?」 うそ。連絡してくれてたの? 全然気づかなかった自分に驚きを通り越して呆れる。 でも、なんでそこまで…。 『なんともないか?少し、声が疲れていないか?』 「……」 『…千里?』 「……すみません。おれなら、平気です。心配してくれてありがとうございます」 なんで、この人は、いつも…。 胸に手を当て、ギュッと握る。 気がついたら、さっきあそこまで落ち込んでいたのがかなり楽になっていた。 終わらせなきゃ。 改めて決心する。 これは、おれの責任だから。 おれが…ちゃんと… 「頑張らなきゃ」

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