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踏み出す14
「…千里、動くぞ…っ」
「…んん、あ、ぁあっ」
腰を動かされると、驚くぐらい体が敏感に反応した。
なにこれ、熱い。
苦しいくらいの快感に困惑する。
さっきイったばかりなのに、また…。
「あ、あ、ゆ、きさ…っ」
「はっ、ぁ、千里…っ」
だめ、こんなの…、変になる。
必死で幸さんにしがみ付いたら、両腕でおれを抱きしめてくれた。
それに胸がいっぱいになって、またポロポロ泣いていたら、
幸さんは困ったように笑っておれの頬を撫でてくれる。
それから夢中で互いに求め合って
何度も名前を呼び合って
涙が枯れるまで泣き続けた。
こんなずっと泣いてたら迷惑だろうに、幸さんは優しく慰めてくれて。
それでやっと、この感情が幸せと呼ぶのだと気がついた。
幸せって、感じすぎると苦しくなるんだ。
こんな風に、涙が止まらなくなるんだ。
そう思ったら今度は笑顔が浮かんでケタケタ笑うと、幸さんは呆れ顔で「忙しないやつだな」とおれの鼻をつまむ。
悠斗さん。
おれは、幸せだよ。
新しい好きな人ができたんだ。
不器用な人だけど、誰よりもおれのことを思ってくれる人。
他にも親切な人がたくさんいる。
おれは元気でやってるから、心配しないで。
笑顔でさよならを言うから。
だから…
今まで、本当に、ありがとう。
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