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始まり6
突然の発言に幸が唖然とし、部屋が静まり返る。
無意識で口にしていた千里は、やがて自分の言ったことに気づき顔を真っ赤にして慌て始めた。
「あ、やっ、そのっ、いまのは違くて…っ」
立ち上がり腕をバタバタさせる千里を見つめていた幸だったが、次には不敵な笑みを浮かべ立ち上がる。
「そういえば次ドラマの撮影で、俺と千里のキスシーンあるよな」
「っ、え、あ、あの…?」
「その日のために、練習しておくか?」
「!」
反応する前に腰に手を回され、引き寄せられた。
かけていた眼鏡を外されそうになり、慌てて顔を逸らす。
「ちょっ、幸さん、まって…っ」
「待たない」
「ぁ…っ」
耳元で囁けば、甘い痺れが千里の体を襲った。
そして抵抗虚しく眼鏡を外され、静かにテーブルに置かれる。
「幸、さん……、んっ」
いきなりの深い口付けに目眩がしそうだ。
「少し口、開いて」
「ん、ぁ…」
ほわほわしながらも、言われた通りに口を開いた。
舌が中に入り込んできて、口内を責め立てられる。
徐々に足の力が抜けていき、やがて幸さんにしがみ付くような形になっていて。
そんなおれを見下ろして幸さんは笑みを浮かべると、ひょいっと横抱きに持ち上げる。
寝室へ移動する間も、何度もキスが落とされた。
おでこ、鼻、頬っぺた、まぶた、唇。
それがくすぐったくて、おれは首を竦めて身を捩った。
「もう…、幸さん…」
「ん。なに…」
「ふ、ぅん…っ」
ベッドに降ろされ、耳を舐められる。
その快感にギュッとシーツを握りしめた。
「耳舐めると体がピクピクするな」
「や、言わない、で…」
「…可愛い」
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