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始まり8
「千里」
「っ、わわっ」
感情がゴチャゴチャで百面相を繰り広げていた千里だったが、
次には幸に腕を引かれ、起き上がっていた。
困惑するままに引き寄せられ、幸の膝の上へと導かれる。
「千里、座って」
「っ、あ、の…」
「大丈夫。ゆっくり、腰を下ろして」
そう言いながら、千里の着ていたシャツのボタンを外していく幸。
シャツのみを纏った姿はひどく妖艶で、眺めているだけで己の熱が高まっていく。
全てのボタンを外し終わり、スッとその鎖骨から下へ指を這わせれば、千里は体をしならせ喘いだ。
「ぁ、ぁんっ…、ゆ、きさ…っ」
「っ、千里の中、すごく、熱い…」
徐々に腰を下ろし始め、中に入ってくる圧迫感に千里は体を震わせる。
そんな彼を抱き寄せて、幸は己の腰を押し上げた。
一気に交わりが深くなり、ぶわりと汗がふき出る。
「ぁあっ…!ふ、かいぃ…っっ」
「っ、凄い、締まる…ッ」
そのまま快感を求めるままに腰を動かした。
肌と肌が当たる乾いた音が、寝室に何度も響く。
「あ、あっ…あっ、んんっ、ぁん」
打ち付けられるたびに、千里から甘い声が漏れ出る。
かろうじて肩にかかっていたシャツがずり落ち露わになった白い肌に、幸は唇を当てた。
舌を這わせ、甘噛みする。
しっとりとした千里の肌はひどく甘美で、一気に理性が吹き飛びそうになる。
どうしようもなく愛おしい、誰よりも大切な、俺の恋人。
過去に囚われ、苦しんでいるのなら、その痛みを共に分かち合いたい。
辛くて涙を流すのなら、泣き止むまで寄り添っていたい。
こんなにも誰かを愛したのは初めてだ。
千里は、俺に人を愛する幸せを教えてくれた。
それは、何ものにも変えられない宝物で、
奇跡とさえ言える、かけがえのないこと。
「千里っ…愛している…っ。お前を、心から…っ」
「ぅ、あ、幸、さんっ…幸さん…っ」
俺の言葉に、何度も名を呼んでくる千里。
その全てがひどく愛おしい。
千里の傷は、きっと一生癒えることはないのだろう。
それでも、少しでも…
俺が千里を支えてやりたい。
いつの日か千里が、心から笑うことができるように。
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