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四、宵闇に染まる②

「行くな!」 声が追いかけてくる。波に逆らって。 「行くんじゃない!」 波音を裂いて声が響く。 (誰?) 「(イサム)!」 (先生!) ゴボゴボゴボゴボ 肺に水が押し寄せる。 溺れるッ 体が重い。 服が水を吸っている。 苦しい! 寒い! 体が引き摺り込まれる。自由がきかない。声が出ない。酸素が吸えない。息ができない。 ゴボゴボゴボゴボ (沈むッ) 「大丈夫!大丈夫だ!」 声がこだまする。 頭の裏でこだましている。 「俺がいる!」 「せんせッ」 「俺がいるからッ!大丈夫だ!」 「せん、せェッ」 先生……………… その後の事は覚えていない。 気づいたら、砂浜に寝かされていた。 「せんせい……」 「……ごめんな、先生じゃなくて」 ぼんやりと。白い意識に響いた声は、分かっていた筈なのに。 涙が零れた。

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