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八、波のささめき

俺を抱く腕に力がこもった。 あなたの体温が何かを訴えている。 あなたは…… 「君の……」 俺は、気づいてしまったよ。 肌の色も違う。 瞳の色も違う。 けれど…… 「気持ちが俺から離れても、君を大切に思っている」 「離れるわけないよっ!」 あなたは。 どうして。 なぜ、今やっと気づいたんだろう。 こんなにも近くにいてくれたのに。 ゼスカ…… ゼスカと名乗るあなたは…… 「先生」 「……ごめんな。ずっと黙っていて」 あなたの指が俺の左手首をなぞった。 白いカケラが静かに揺れる。 「もう一度、付けてくれたね。ありがとう」 あなたがくれた白い貝殻のブレスレット…… あなたが俺の手を包んだ。 「なにも言わなくていい。後悔もしなくていい。全部分かっているから」 俺の命は…… 「君が俺に残してくれた命だ」

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