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5 覚悟
「先に風呂入る? 俺はもう少し飲みたいなって思ってたんだけど、どうする? 」
あの後、直ぐに近くのホテルに連れ込まれた。
「ど、どっちでも…」
そういう行為に慣れてはいる。
だけど、今日は挿れなきゃいけない。
久しぶりのその恐怖に、やっぱり肩が竦 む
あの頃の僕は、まだ体が未開発だったからのか、やっぱりその行為に快感を見つけられなくて。
ただ痛いだけの行為だった。
大丈夫。少しだけだから。
早くこの男をものにしないと、父さんが何をしでかすか知ったものじゃない。
震える手を握りしめ、覚悟を決める。
その時、彼が僕の手を掴んできた。
「!」
「おいで、遥輝」
そのまま引き寄せられ、抱き締められた。
「え?! ちょっ、どうしたの? 」
「……無理してないかな?って思って。大丈夫? 」
不安そうな顔をして、僕の頬に手を置く。
「大丈夫。風呂、行ってくるね」
甘い雰囲気に耐えられなくて、その手を振り払って風呂へと逃げ込んだ。
大丈夫。無理なんかしてないよ。
これは、僕がやらなきゃいけないことなんだ。
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