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甘党(つむぎ)
こんだあそびにいくんだかたまわいつきゅっにんを、。?
と、謎のメッセージが祈織さんから来ていて
なんだこれ、とスマホをみて首を傾げる
なに、これ?
誤送信?ポケットの中とかで勝手にスマホいじっちゃったみたいな?と
謎すぎるメッセージに少し悩む
なんだこれ、
そんなおれは朝から今日もバイトで元気よく出勤をしていた
今日ちょっと早く着いちゃったのにもうマスターは来ていた
『マスター、おはようございます』
「紬くんおはよー。早いね」
『今日雨だからちょっと早く家出てきたらすんなり着いちゃって。人どうですかねー』
「そうなんだ。そんな強い雨じゃないから来るんじゃないのかな?」
『そっか、』
と、さっさと制服に着替えて準備をする
着替え終わってカウンターに行くとマスターはすでに開店準備で動き回ってたからおれもペーパーナプキン補充したりとか
いろいろ拭いたりとか自分のできる仕事をする
「そういえば昨日つむぎくんお休みだったでしょ?」
『はい』
「あの人来たよ」
『あの人?』
「祈織さん?」
『え!きたの?なんで?』
「なんでって、普通にコーヒー飲みに?」
『えええ、会いたかった!喋った?』
「うん、まあ喋ったけど。聞いてない?」
『聞いてないけどなんかよくわかんないけど誤送信みたいなメッセージ来てた!』
「なんかサイフォンに興味持ってたから今度遊びにおいでってなったからって紬くんに連絡してくれればって言ってたんだけど」
『ええ?そんな事言ってなかったけど、』
と、もう一度祈織さんからきたメッセージを確認してみると
こんだあそびにいく
と、今度遊びに行くとも取れる文字列があったことに気付く
祈織さんスマホ壊れでもしたのかな、こんなよくわかんない文章って
でもなんとなく言いたいことが分かってすっきりした
バイト終わったら返信しよ、と決めて
とりあえずもう仕事が始まるからスマホはしまっておいた
「あれだね、ニート辞めたんだね」
『あーうん、なんか仕事決まるかもって言ってたから』
「あの人働けるの?結構浮世離れしてるけど」
『前の職場ではバリバリ働いてたよ。幹部とかだったし』
「そうなの?意外」
と、マスターも案外失礼だな
「紬くん詳しいんだね」
『まぁ、一応前のバイト先の人だったから』
「へえ、そういえばどんなバイトだったの?前のバイト」
『……え、?あー、うん、えー』
「あれ?聞いちゃいけない感じ?」
『いやー、なんていうか、うん、恥ずかしい?』
「なんで?んー、ホストとか、…」
『うーん、まあ、そんな感じ……』
と、これ以上聞かれたくないから誤魔化した
「祈織さんも昔はホストだったとか?」
『うーん、祈織さんは違ったらしい』
「そうなんだ、顔良いのにね」
『ですよね!』
「でも実際にホストやったら祈織さんより紬くんの方が人気ありそうだよね」
『そ、そ、そうですか!?』
「そうだよー、紬くんも祈織さんと違うタイプだけど顔いい感じだし、何より人懐っこくてかわいい」
『そ、そ、そうかなあ』
あんまりそんな褒められた事ないから照れるな、
「祈織さん顔いいけど人見知りでしょ?昨日も話しかけたらちょっとびくびくさせちゃった」
『話しかけたの?』
「ちょっといつもより早い時間に来たから他にお客さんいなくてさー。カウンターに座ってたのに無視するのも変でしょ?」
『えっと、うん』
いいなあ、マスター
祈織さんに会えて
つか祈織さん昨日から仕事だったのになんも教えてくれなかったなあ
会社決まったのも教えてくれなかったし……
なんの仕事かもまだおしえてもらってないし
『むうぅ、』
なんだよ、と膨れてしまった
「紬くん、お客さんくるからその膨れっ面直そうね。ほら、笑って」
と、マスターは
おれのほっぺたをぷに、とすこし触ったから思わず笑ってしまった
「そうそう。紬くんは笑顔の方がいいよ」
と、マスターもにっこりとしていた
マスター、接客業だから
いっつもニコニコしてるけど
怒ったりする事あるのかな?
祈織さんも不思議な人だけど
マスターも大概不思議な人だよな、
マスターって、プライベート
どんな感じなんだろ
祈織さんと違って料理は出来るから
ちゃんと家事とかはしてそうだなあ
『マスターって』
「ん?どうしたの?」
『家事代行とかハウスキーパーとか呼んだりしてます?』
「ええ?そんなのしないよ。そんな雇うほど立派な家でも無いし、そもそも自分でできるでしょ?」
『へえ、すごいですね』
「普通だよ、僕は」
と、いつものように口角をあげながら
コーヒーを入れていた
マスターは普通っていうけど、
おれは凄いと思うけどなあ
「紬くん」
『あ、はい』
と、振り向くと
おれがいるテーブルにことり、とコーヒーが置かれた
「どうぞ」
『え!』
「紬くんが手伝ってくれたから開店準備早くできちゃった。開店までちょっと時間あるしゆっくりしない?」
『わ!ありがとうございます!』
と、早速そこに座らせてもらってコーヒーをいただくことにした
『んんん、うまい。マスターのコーヒー飲んだらおれ、ほかのコーヒー飲めないです』
「大袈裟だなあ」
『ほんとですって!』
と、前に祈織さんもコーヒーをいれてくれた事をちょっと思い出した
祈織さんが
俺、米炊くのとコーヒーいれんのはうまいけど
と、昔言っていたのも一緒に思い出した
祈織さんのコーヒーもちゃん美味かったけど
やっぱり本格的なコーヒーはちがうな、
と、そこまで考えた所でマスターがおれのことを見ていた事に気付く
『マスター?』
「あー、ごめん」
『なにか、』
「いや、そういえば紬くんはブラックのコーヒー飲めるんだなって」
『あー。それちょっとよく言われます。おれ、なんかどちらかと言えば童顔っぽいから子供扱いされる?というか甘党に見られがちだけど実はそこまで甘党じゃないんですよね』
「そうなんだ、よかった、僕のブラックコーヒー飲んでもらえて」
『おれ、マスターのコーヒー1番すきなんで……良かったらまたいれてほしいです』
「うん、いつでも煎れるよ」
と、マスターは笑顔で言った
なんか、胸がすこし変に動いた
この前まで
祈織さんがたまにコーヒーいれてくれるのが
おれは幸せだったのにな
なんか、寂しい
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