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限界(祈織)
溜まってたのか、そりゃそうか
『祈織さん、大丈夫?鼻血、止まった?』
『んん、止まった』
止まったけどなんかつらい
そうか、溜まってるからつらいのか
続きやろうかな、とつむの身体を触ろうとして
手を止めた
あれ、これやっていいのかな
つむおれのこともう好きじゃないのに
あれ、これって好きだからやるんだっけ
もうわかんなくなってきた
おれは匡平の事好きだからやりたいけど
別にみんなは好きじゃない人ともやってんのか、
匡平だって飼い犬のおれとえっちしてたし
あぁ、飼い犬だからか
飼い犬だったらやっていいんだよな?
だったらつむとはやってもよかったんだ、と
だからおれもつむとやったんだし、
『んんん、もう、わかんね、』
とりあえずちんぽ痛いからやろうかな
『祈織さん?どうしたの?えっと…え、えっち、すんの?』
『しちゃダメなの?』
『…そ、それは、』
『気持ちよくなろうよ、』
気持ちよくなりたい、とすりすりと自分の下半身を撫でた
さて、とそのままつむの身体に乗ろうとすると、
『ちょ、ちょ、ちょ、い、祈織さん、ちょっとまって!』
と、手で静止され一応止まってあげる
こいつ声でかいんだよな
『……なに、うるさいなぁ』
『うるさいじゃないよ、祈織さん…やっぱり、えっちは、やめておかない?だって、あ、は、鼻血、また、出ちゃうかもだし、』
そう言われ少し考える
確かに鼻血でるかも、
でも、溜まってたら結局また鼻血でるし
どっちにしても出るならさっさとスッキリさせたかった
『…つむはおれとやりたくないの?』
『そ、それは、…ちょっと、やりたい、おれも、おとこだし、』
そっか、男だもんな、つむも
かわいいけど
『…しょうがないから入れてもいいよ?特別に、』
『ちょっ!い、いおりさ、ん!な、な、何言ってんの!』
『だって男ならいれたいんでしょ?』
『そ、そうだけどそうじゃなくて、』
『つむの童貞。もらう、』
『ち、ちっがうよ!あげたいけど!あげたかったけど!』
『……もうちがうの、?』
もうおれの飼い犬じゃないからくれないのかな
『ごめんつむ』
『……違うのに、祈織さんはわるくないのに、』
『……おれが悪いんだよ、ごめん、つむはもうおれのペットじゃなかったね』
『…………え?』
『なに?』
『祈織さんって、おれと一緒に住んでたから……おれのこと飼ってたからえっちしたの?』
『……そうでしょ?』
と、聞くと
つむは少し間を置いて
ぶわりと目から涙を溢れさせた
『どうしたの?つむ、』
おいで、とつむに手を伸ばしたのに
つむは首を振った
『…ごめん、っ、わかってた、けど、わかってたのに、』
『なんで泣いてんの?』
『……だって、』
どうしたの?訳わかんないんだけど
『だって?』
『祈織さんが…おれのこと、ちょっとでも好きだから、えっちしてくれたと思ってたのに』
『おれつむのこと好きだよ、』
『それって、どういう好きなの?』
『どういう?』
なにそれ、
飼い犬だから好きだったんだよ、おれは
つむがおれのこと好きそうなところも好きだった
つむと一緒にいると何にもないおれが必要とされている感じで好きだった
だから、あのまま一緒にいたらいつかちゃんとつむのこと好きになれるかもって思ってた
『祈織さんは、社長の事が好きなんでしょ?』
『うん。でもつむのこともすきだよ。前に言ったでしょ?おれはつむがおれのこと好きな所がすきって。お前といるときのおれが好きだったんだって』
『それって、……おれの、こと、すき、じゃない、じゃん、』
『そんなことないよ。すきだよ。つむ。かわいいし。おれのこと好きでしょ?そういうの言葉にしてくれるつむが好き』
あいつと違って、つむはおれの事好きって言ってくれるから
『そんなの、全然好きじゃないじゃん』
と、つむはおれから距離をとった
『つむ?』
『ごめん、祈織さん。おれ今日もう帰る』
『え?なに?どうした、急に。もう終電ないじゃん』
『そんな遠くないし、タクシー乗るから平気』
『明日の朝帰ればいいじゃん。えっち嫌ならおれしないし、』
『もう、祈織さんと一緒にいれない』
『なんで?え、つむ、何言ってんの?』
『だって。おれもう祈織さんのこと……すき、じゃ、ない、』
『…やっぱり、おれのことすきじゃないの?』
『………うん、もう、すきじゃ、ないよ、祈織さん』
と、つむぎは涙を拭って
服を正して荷物を持った
『え?帰んの?』
『うん。かえる、』
『なんで?やだ。つむ、一緒に居ようよ」
『ううん、ごめんね、祈織さん。おれ帰る』
『なんでよ、つむ』
出てくのかよ、お前も、
なんで、と玄関までつむを追いかけて
腕を掴んで引き止めるけど
つむはおれのことを見てくれなかった
『やっぱり、お前も、おれの事捨てんのかよ』
『………ごめん、祈織さん』
『やだ、つむ、やだって』
『祈織さん、もう逃げんの、やめなよ』
『…なに、が、』
『祈織さん、もう逃げてないでちゃんとしないと祈織さんの心、限界だと思うよ』
『なんの話ししてんの?』
『じゃあ、帰るから』
と、つむぎはおれのことをおいて
家を出ていってしまった
なんだよ、逃げてるってなんだよ
なんで、みんなおれの事捨てんだよ
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